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9 ◇大切なこと

작가: 設樂理沙
last update 최신 업데이트: 2025-12-24 02:01:52

 どうしてこんなことに……。

 夫の考えが理解できなかった。

          ◇ ◇ ◇ ◇

 産後のことだった。

 1ヶ月里帰りをした時のこと。

 

 父親が病院まで迎えにきてくれて、母があれこれ準備してくれて待っている

実家に向かう道すがらの、車の中でのこと。

 カーラジオからたまたま流れていた夫婦のSEXの話。

 はっきり覚えているのは、子供を何人か産んだあと、もっともっと

夫婦のSEXは良いものになると医師と誰だかが薀蓄を垂れていた。

 はしたないかもしれないが、私は夫婦の営みは嫌いじゃない。

 そして肌と肌の触れ合いも、夫婦にとっては大切なモノだと

思っている。

 そんな私だから……実は産後の夫婦生活を逆に楽しみに

していたほどなのだ。

 女性によっては、逆に夫と同じような理由とか、産後特に身体に

触れられるのが嫌になったとかっていう人も中にはいるらしいけれど。

 私は違った。

 それはそれは楽しみにしていたのだ。

 またレスのままだと、夫の浮気の心配も出てくる。

 そういった疑ったりすることも嫌だ。

 このまま一生レスであるとするなら、夫の浮気もずっと気に掛けて

暮らしていかなければならないだろう。

 そんな風に考えながら、私はこうも思った。

 真莉愛は鶏頭のいかれた女だが、いい仕事をしてくれたのかも

しれない……と。

 真莉愛が、夫から本心を引き出してくれていなければ、きっと私は延々と

その思いを知らずに暮らしていたのかもしれないから。

 そうだよ、悲しいことだけど真実を知ることは……

現実を見ることは……大事だ。

 そしてこの一連の出来事を知った日から2ヶ月後に、由宇子は、夫の将康

から単身赴任の話を聞かされたのだった。  

設樂理沙

☘ そしてこの一連の出来事を知った日から2ヶ月後に、由宇子は、夫の将康 から単身赴任の話を聞かされたのだった。  (1話へと繋がる)

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  • 『パラレル』─ 愛の育み方を間違え相手の気持ちを理解できず、愛を失くした男の物語 ─   18 ◇8年の歳月

     単身赴任して8年の歳月が流れ──まさか単身赴任が8年もの長きになるとは流石に想像できなかった。 それこそ、思いの限りやりたいだけ仕事をしつくしたと言えるだろう。 あんなに仕事やりたい症候群に捉われていた自分も本社に戻れば、モーレツ社員は返上して、普通の仕事量でやっていこうと思えるようになっていた。 この8年、妻の申し出に甘えて家には一度も帰っていない。 帰りの新幹線の中で少し不安になってきた。 家が近づくにつれ、嘗てない感情に捉われはじめてもいた。 8年間も家族の顔を見ないで過ごしてきた……過ごしてこれた……俺は、どうなんだろう?一般的に……世間的に…… 仕事しか目に入らない、入らなかった自分が、そのモーレツな思いから解き放たれた途端、気になりだしたのだ。 これまでの8年間というものが……。 だが、ここでそんな思いを捉われたとて何になろう。 今さらだ。 大丈夫だ、由宇子とは月に2~3度メールでだが近況のやりとりはしていたりのだから、と自分を鼓舞して……鼓舞しないといけないっていうこと自体おかしいよなって……頭のどこかで警鐘が鳴っている。 家に近づくにつれて、離れた時の子らの顔と妻の顔が浮かんでは消えた。 俺らしくもなく、少し胸がドキドキしてくる。 そして、家族と一緒に暮らせる喜びと期待が胸に湧いてくる。 胸がやたらと高鳴っているのがわかる。 8年間、俺は仕事一筋真面目にモーレツに頑張った。 収入も倍以上増えるし役職にもつける。 妻の由宇子に早くこの話を届けたい。          ◇ ◇ ◇ ◇ それなのに家に着くと、俺を出迎えてくれるはずの家族は誰もいなかった。 出てきたのは、知らない人間だった。

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